横浜市教育委員会は24日、同じ市立学校で2022年度に生徒2人が相次いで自殺していたことを明らかにした。このうち1人の遺族はいじめ被害を訴えており、市教委はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」として扱う方向で検討している。もう1人の遺族からはいじめ被害の訴えは受けていないという。
市教委は学校名や2人の関係、亡くなった時期など詳細を明らかにしていない。だが複数の関係者によると、2人は同学年で、1人の遺族は亡くなった直後からいじめ被害を訴えていたという。
文部科学省が定めた「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」では、学校側は得られた情報を整理する「基本調査」を実施するほか、外部の専門家を加えた「詳細調査」についても「全ての事案について行うことが望まれる」としている。
市教委によると、市立学校では23年度までの10年間に児童・生徒の自殺が41件あったが、38件は基本調査だけだった。今回判明した2件のうち、遺族がいじめを訴えた1件も基本調査のみにとどまっており、市教委は「遺族の意向を最優先してきた」と説明している。
過去の事案で「いじめ」の文言削る指導も
横浜市では、20年3月に市立中学校の女子生徒がいじめを訴えて自殺した問題が今年3月に発覚。第三者委員会が同月に公表した調査報告書では、遺族が学校にいじめ被害を訴えたものの、市教委が基本調査から「いじめ」の文言を削るように学校側に指導していたことも明らかになっている。(堅島敢太郎)